第21回おうみ佐保塾公開講座 チラシ
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〜毎年恒例のおうみ佐保塾。今年度は、BBCびわ湖放送開局時よりテレビ放送に携わってこられた池田重信氏(現・帝塚山学院大講師)を演者にお迎えし、テレビ番組制作にまつわる四方山話を、10月4日と11月1日の2回に渡ってお伺いしました。〜

  

 去る10月4日、台風による悪天候が心配されていました初回でしたが、幸い太陽も顔を出す日和で、役員一同安堵しつつ皆さまをお迎え致しました。

    機器の能力がまだ未熟で(カメラの解像度が悪い等)灼熱の照明用ライトを照らさねばならなかった草創期のスタジオ撮影現場。ハプニングにも事欠かず、番組中にゲストがひな壇から後方へ転落してしまって姿を消すという驚愕のご体験もあったとか。また、局の設備投資に多額の資金が必要であったこと等ご苦労が大きかったとおっしゃる講師のお姿から、それでも情熱を持って局の基礎を築いてこられた気概を感じました。 

   さて、日本のテレビ史上画期的な技術革新第一弾はVTRの登場。以前は頭から最後に向けて続けて撮っていかなくてはならなかったものが、ビデオの編集によって過去と未来とを逆転して編集挿入できるようになりました。番組制作上の多様性が生まれた瞬間でした。 
   第二弾は今も記憶に新しいデジタル化。編集が更に容易になり、画質・音質がアップし、ワンセグデータ放送なども始まりました。 
   一方、テレビ番組の中身等については、技術革新の成長に呼応して進展してきたのか、という問いかけもありました。テレビ局の制作現場を担う皆さまが、番組制作者としての使命や役割、ジャーナリズムの視点を重視して番組を作っておられるか。講師は「視聴者のあらたな役割」について考えてみて欲しいと言及されました。
  「固定化されたお客」という立場を越えて、良い番組には賛辞や意見を、良くない番組には提言を、発信者側に届けていかなければならない‥双方向の片方を担う必要が、視聴者側にもあるのではないか、という問いかけでした。

    私としては、広告代理店とは何か、放送免許交付を国から受けねばならないこと、東京の大手のキー局と地方の局の違い‥など、業界の方でないと知り得ないお話が大変興味深かったです。テレビ局の立場やご苦労を知った上で、なおかつ番組への意見・提言が真摯に出来れば、一層お役に立てるのではないかと思いました。

   次回は、日本の報道史上に於いても、決して忘れてはならない出来事である「水俣病」について、お話をいただきます。どうぞ皆様、ご来場を楽しみにお待ち申し上げております。                                                                   
                                                                                                         高原 早苗(S60・文・社)

第22回おうみ佐保塾公開講座 チラシ
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11月1日(金)【草津市立まちづくりセンターにて】、第22おうみ佐保塾公開講座が開催されました。講師は前回に引き続き、池田重信先生です。『生産至上主義の負の遺産』と題し、水俣病を巡る諸問題について語っていただきました。

水俣で発生した奇病の原因は有機水銀であると熊本大学が発表したのが1959年の7月。ところが反論や妨害がおこり、2004年の最高裁判決まで実に45年もの永きに渡って解決が見られなかったのです。その間に被害者側は甚大な苦しみを受けました。当時は環境問題という発想がまだ無く、経済成長が何よりも優先された時代であったことが、背景にはあるでしょう。でも、何か起こった時に「自分たちは犯人ではない」と思いたいという心境は現在の私たちにもあるのではないか‥という池田先生の問いかけは胸に響きました。
水俣病に関しての地元紙の丹念な報道に比べ、全国紙は簡単な報告しかしなかったそうで、これは現在でも続いている現象だと嘆息されました。現在はその間隙をSNSが埋めています。マスコミ危機の時代であると言えるでしょう。
今年度のおうみ佐保塾は、これで終了です。来年度も是非ご参加ください。 (高原)