第12回おうみ佐保塾   講師 泉 加代子 氏  

 

     おしゃれが認知症状を改善する効果

        ~ファッション・セラピーの実践事例より~

 


平成27918()、第12回公開講座を草津市立まちづくりセンターで開催しました。一般市民を含む63名の参加者の中には、若い男性・女性、高齢の男性がおられ、関心の高さを感じました。


講師の泉加代子氏は、半世紀前にアメリカで実施されたファッション・セラピー(被服療法)が、女性患者の精神的疾患の治療に成功したという論文に出会われ、日本の要介護高齢者にこれを応用できないかと2002年以来取り組んでこられました。12年間にわたる具体的な研究方法と実践事例および効果を、大変わかりやすく紹介してくださいました。


装いによる心理療法であるファッション・セラピーは、その結果、服装への関心が高まり、表情が明るく和らぎ、言動も積極的になるなどの情動の活性化が見られ、施設職員も精神状態や日常生活の改善を認めたそうです。しかし、セラピーの効果を維持させるためには、施設職員や家族による日常的な衣生活支援が必要であることもわかりました。スカートやワンピースを日常着とし、肌着と下着にのみ名前を書き外衣の洗濯は適した方法で行う、おしゃれを楽しむ機会をつくる(インドサリーの着付けや近くのホテルでのお茶会等)、日常的に着装アドバイスを行うなど、「家庭生活の延長」を目指している施設もあるそうです。このようなことが継続できれば、認知症高齢者の精神状態や日常生活の機能低下を穏やかにすることが出来ると言えます。


泉加代子氏の研究・活動である「衣服、おしゃれが認知症状の維持・改善に効果がある」ということが、認知症専門医に認められる時代になってきました。


講演後は、男性の方々からの質問や提言が多くなされ、日本の平均寿命・健康寿命がともに世界の最高水準に達している今、健康寿命(日常生活を自立して元気に過ごせる期間)を延長させ、要介護者の症状悪化を防ぐことがいかに重要で急務であるかを共感するひとときでした。


次回の、「第13回 おしゃれが元気な高齢者をさらに元気にする効果 介護予防をコンセプトにしたファッションショーのビデオ鑑賞より~」では、本日のお話の内容を実感していただけることでしょう。皆様のご参加をお待ちしております。詳しくはこちら

 

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