13回おうみ佐保塾   講師 泉 加代子

    

      おしゃれが元気な高齢者をさらに元気にする効果

     ~介護予防をコンセプトにしたファッションショーのビデオ鑑賞より~ 

平成271016()、第13回公開講座を草津市立まちづくりセンターにおいて催しました。近隣府県からも一般市民を含む40名が参加者されました。  

 

講師の泉加代子氏は、今年4月に改正された介護保険制度で、要支援者向けの予防給付が全国一律のサービスから市町村が取り組む地域支援事業に移行することになった時局を鑑みて、介護予防をコンセプトにしたシニア・ファッションショーを上映されて、「自分の身は自分で守る」ことの大切さを訴えられました。

 

 このショーを開催された2006年の介護保険制度では、介護予防(栄養改善や運動機能の向上)に重点が置かれましたが、「衣」に関しては全く触れられていない状態でした。そこで泉氏は、それまでの研究・実践で明らかにされてきた「おしゃれが高齢者の自立や心身の健康維持・促進につながる」ことを、一般市民に啓発することを目的としてファッションショーを開催されました。

ショーは、京都市交流会館イベントホールで開催され、シニアの有志27(男性7、女性20)、年齢6394歳(平均73)の方々がモデルとして出場されました。「おしゃれで元気なシニアづくりのためのファッションショー」をテーマに、心身の健康維持・促進に良い12場面(「目覚め」「朝の散歩」「ガーデニング」「クッキング」「スポーツ」「夜のウォーキング」「ショッピング」「ハイキング」「ホテルでのお食事」「観劇」「旅行」「結婚式」)を設定され、それぞれの場面に適した明るく若々しい気分になるような衣装をモデルの嗜好に合わせて京都女子大学の学生さんが製作されました。

その結果、モデルの方々はショーの準備を通して、回を重ねるごとにおしゃれになり、それにともなって生き生きと若々しく元気になられ、衣装への意見やコーディネートへの提案をされるなどの様子が見られたそうです。以前と比較して、「姿勢や歩き方に気をつかうようになった」「気分が若返った」「服の配色や組み合わせに気を使うようになった」「おしゃれをするのが楽しくなった」「新しい事に挑戦してみたくなった」などのアンケート回答からもモデルの方々は、服装関心度が向上し、自己意識の高揚、表情のプラス方向への変化、行動意欲・対人関係の向上がみられたそうです。また、観客にも好評で、生き生きしたモデルや、身近に感じる衣装からの刺激により、服装関心度や自己意識の向上が見られました。京都市老人クラブ連合会や全国老人クラブ連合会は、このシニア・ファッションショーを介護予防を目指した良い取り組みであると高く評価されています。

 

健康を維持・増進できる日常場面でおしゃれを楽しむことが、装いの心理的効果と場面の効果との相乗効果で「介護予防」につながるといえます。泉氏が開いておられる「オレンジカフェ日吉台」の来客の一人である82歳の男性が「食物は身体の栄養になり、被服は心の栄養になる。おしゃれは心を豊かにする。」といわれる言葉や、「健康寿命を伸ばす4つの秘訣は、『テクテク(適度な運動)』 『カミカミ(規則正しい食事)』 『ニコニコ(笑いと心の健康)』 『ドキドキ・ワクワク(五感を使った感動)』 を継続することだ」といわれていることからも、被服(おしゃれ)が健康な高齢者づくりの道具になることが認められるようになりました。また、昭和女子大学の坂東眞理子学長は、「きょうよう(今日、用事がある)」と「きょういく(今日、行くところがある)」が、これからの高齢者に必要であるとおっしゃっています。

 さあ、おしゃれをして積極的に外出する習慣を身につけ、健康寿命を伸ばしましょう!!

当日のようす ↓